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地球ドラマチック 10/28日放送回・往年のメダリスト達と今のメダリスト達を条件を同じにして競わせたらどうなる?

TV☆Writer

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今回の『地球ドラマチック』は、カナダ・ドイツ制作の番組。

現在活躍している一流アスリートと、昔のアスリートとを競わせたらどっちが勝つか、という企画だ。

競技条件をできうる限り昔の選手の時代に合わせて、現代の競技環境・設備やテクノロジーを使えないようにして、この数十年間で人間のフィジカルがどれだけ進歩したのかを検証しよう、というのだ。

これは結構、興味深い番組だ。この数十年で、人間の限界の記録はどんどん更新されてきた。
それは、アスリート個人のフィジカルやメンタル、科学的な新しい知識が主な限界突破の原因なのか、それとも、スポーツに使う道具やトラックなど、アスリート本人の進歩ではないところが格段に進歩したのが主な理由なのか・・・。

番組では、当時の競技用道具を再現したりなどの大変な苦労をしながら、5つの競技で現代のトップアスリートを集めて、かなりの手間をかけて検証している。5つの競技とは、100m走、自転車、水泳、やり投げ、カヤックだ。

科学技術の進歩でトレーニングの仕方や体に関する知識も大幅な進歩があったし、栄養状態も以前よりかなり良くなっているはずだ。社会的にも現代のスポーツ選手は優遇されやすい時代だし、全ての競技で現代のアスリートが勝つと予想していたが、思わぬ結果に・・・。

まず、最初は100m走での時代を越えた検証。

現代の選手、アンドレ・ド・グラスはカナダの選手で、世界選手権銅メダルやパンアメリカン競技大会金メダルなどの成績を残している、現役選手。

2015年の北京での世界選手権では。9秒92のタイムだった。

グラスの今回の相手は、1936年ベルリンオリンピックで10秒3の当時世界記録を残した金メダリスト、ジェシー・オーエンス。

オーエンスは、80年近く前の選手だ。

このベルリンオリンピックは、ドイツのリレー選手がバトンを落として”総統”が落胆した映像が有名な大会だった。

番組のナレーションによると、ヒトラーは「ドイツ選手団が、白人の優位性を照明することを期待した」が、「黒人のオーエンスが複数の種目で金メダルを獲得した」という大会だ。オーエンスは、そういう伝説の名選手なのだ。

オーエンスの記録は10秒3で、ウサイン・ボルトの現在の世界記録は9秒58だから、人類は80年間で、0.72秒程度速くなったことになる。100m競技で7%も伸びているのは、驚異的な進歩である。

では、その”進歩”とは、肉体や知識の進歩なのか、それともシューズやトラックの進歩なのだろうか。





陸上100mでの驚異的な進歩は、道具、たとえばシューズが軽くなったり、地面からの反発力を効率よく前に進む力に変える技術や、科学的な進歩もかなり貢献している。

トレーニング方法に関しても、スポーツ生理学者は「オーエンスの時代から比べると、大幅に進歩している」という。

100m走では、特にトラックの違いがとても大きいようだ。

トラックは合成ゴムでできていて、摩擦抵抗や反発力が増すように設計されている。専門家によると、現代のトラックは「弾力性に優れ、強く押し返してくるから、とても走りやすくなっている。土のトラックとは、比較にもならない」ほど違うらしい。

一方、80年前にオーエンの時代は土のトラック。

土とトラックの合成ゴムの上を、どれだけの力を加えれば重りが動くかを実験したら、土の方はあっさり重りが動いたのに、合成ゴムの方は引っ張っても動かすことができなかった。

これは、「(現代のトラックでは、足が)滑ることはなく、地面を蹴った力の大半が、前に進むのに効率良く使われるということ」
ということだ。

80年前にはスターティングブロックもなく、土を掘っていたらしい。

今とは全く違う競技じゃないかと思うくらい、現代の100m走と80年前の100m走は違うのだ。





往年の名選手オーエンとグラスとの対決は・・・、

オーエンの勝利に終わった。
オーエンは10秒3に対し、オーエンの時代の環境でのグラスの記録は、なんと11秒ジャスト。

グラスの本来の記録は9秒92なので、1秒余りも遅くなってしまった。この1秒、10%以上の遅れは、トラックやシューズなどのアスリート個人の能力とは違う原因での差ということだ。

この80年間の”進歩”とは、トラックの合成ゴムやシューズによるものがほとんどなのかも知れない、という結果になってしまった・・・。

もちろん、その日の調子や道具や競技環境への慣れ、筋肉の付き方の違い、モチベーションや集中力などの要素もあるから、単純計算できないけれど、今大売り出しの若手アスリート、世界選手権銅メダリストがこれだけの差を付けられてしまったのには、驚いた。

あくまで単純計算だけれど・・・。
9秒92が11秒になったということは、1.109倍の割合でトラック環境などの影響があったということ。この割合をウサイン・ボルトの記録で計算すると、およそ10秒62になる。

この結果によると、人類が”10秒の壁”を越えたのは、人間の肉体の進歩や科学知識の進歩ではなく、トラックやシューズなどがほとんどの理由なのではないだろうか・・・。





5つの競技で昔の選手の記録と現代の選手との比較が行われたが、その勝敗は現代の選手の2勝3敗だった。

自転車女子3000mでの比較では、現代の世界記録保持者のサラ・ハマーとベリル・バートンの競争だった。
1964年のバートンの世界記録が4分16秒6。現代のハマーの記録が3分22秒226。この50年で、ほぼ54秒も記録が”進歩”したのだ。

ところがバートンと同じ自転車で走ったところ、

わずか4秒だけの差で、ハマーの方が辛くも勝利。
ハマーは現代の自転車では3分22秒226の記録だったのに、50年前の自転車では4分12秒00。自転車やヘルメットの違いで、50秒も遅くなってしまった。

この画像は、自転車による空気抵抗の違いを分析したものだ。左が50年前の競技用自転車で、右が現代の自転車。自転車の構造、選手の姿勢などで、大きく空気抵抗が変わってしまう。また、自転車の素材や重さなども記録に大きく影響しているのだ。

辛くも現代の選手が50年前の選手に勝ったけれど、この結果だと、道具の違いが、人間の限界の記録を更新できた理由だと言えそうだ。





今回検証した5種競技のうち、カヤックは現代の選手がかなり差を付けて勝利したものの、水泳とやり投げでは現代のトップアスリートが敗けてしまった。

番組では、現代の選手や専門家もかなり前向きで、「伝説の選手を改めて尊敬した」とか、微妙な状況の違いを強調していて、アスリートの表情もみんな明るかったが、結果からみると惨憺たる結果としか思えない・・・。

単純計算はできないのだけれど、今回の結果からは、「スポーツの世界新記録の進歩、人間の肉体の限界の向上は、道具やトラックなどのおかげ」という結論になってしまった(と個人的に思う)。番組では、そういう言い方は全くしていなかったが・・・。

これから陸上競技のテレビで、実況が「世界新記録ぅ〜!!」と大声で怒鳴っていても、それは本人の能力や人類の肉体が限界を越えたわけではないんだろうね。

この番組はかなり興味深い結果になったし、異論もとても多そう。こういう番組、日本でも海外でも、もっとたくさんやってほしいな。

しかし、水泳の往年の名選手マーク・スピッツさんの限界は、永久に不滅だと思う。

この恥ずかしさの限界は、現代のトップアスリートを誰も超えることはできないだろう・・・。ある意味で、「記録ではなく、記憶に残る選手」だ。

カヤックすごかったですね!オリンピックも楽しみっ(≧∀≦*)


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