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カルテット 第8話・甘いだけじゃない。大人のビターなドラマ「カルテット」

TV☆Writer

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カルテットの日はリアルタイム視聴が肝要である。というか、それもカルテットを美味しく味わうソースのひとつ!カルテットは最後の最後まで、本当のラスト一分、30秒まで目が離せない。

なぜならこのドラマ、最後の最後に大どんでん返しという大きな爆弾を投げ込んでくるからである。中でも最大にツイッターのタイムラインがザワついたのは「衝撃のクドカン登場」だろうか。

真紀の失踪した夫「幹生」はドラマ中で長く謎の存在とされてきた。「夫さん」と「幹生」という名前しか分からず、真紀の語る話の中でしか人となりも顔もわからない「夫」

視聴者はそれぞれに、どんな人物なのかという想像を巡らせつつカルテットを視聴し続けていた。ところが、その「夫」を演じる人物がクドカンであったことが判明したのだ。そうしてその鮮やかな「引き」を前に翌週の火曜までお預けだ。

これでは視聴者はたまらない、が何とも言えず癖になる。

前置きが長くなったが、3月7日に放映された第8話は、なんとこの「衝撃のクドカン」を上回る爆弾を投げてきたため、いつも以上にツイッターは騒然となった。

ラスト5分前、暗闇を歩く二人の刑事。漂う不穏な空気。彼らはある人物の家を訪れ、意外なことを告げる。

ネタバレに繋がるため、詳しくは明かせないが、この番組のメインテーマ「全員嘘つき、全員片思い」に繋がる爆弾だったことだけを明かしておこう。

8話冒頭はまず4人が湖で座り、ワカサギ釣りをしているシーンから始まる。だから何のドラマだよこれ!1話から追っかけ続けている視聴者なら「ああ、今週は何が始まるのかな!」とワクワクしかないシーンであるが、初見の人にはかなりハードルが高い。

そんな和やかなシーンとは裏腹に、4人には容赦なく現実が迫ってくる。
松たか子演じる「巻真紀」(旧姓は早乙女)に思いを寄せる別府(松田龍平)の家が所有する別荘で共同生活を送るカルテット4人だが、別荘の売却話が別府の弟からもたらされる。彼は4人を「ダメな人」と切って捨てる。「人を査定しにきたの?どういう資格で?」と静かに怒りを爆発させる別府。
それをこっそり聞いていたすずめ(満島ひかり)は、このままではいけないと就職活動を始める。

彼女は別府に思いを寄せており、積極的にアプローチを行った過去があったが、真紀のことしか頭にない別府にはさりげなくかわされていた。

実は「カルテット」の4人が揃う前にすずめと別府は合流し、食卓をともにしていた。その際「綺麗な白い服だから」とすずめを気遣ってくれた別府。その時からすずめが別府を好きなことが明かされる。

そのときと同じように、二人きりで食卓をともにする二人だったが、やってきたカルテットの4人目家森(高橋一生)の「便座が冷たい」との発言でぶちこわしになる。

この8話はすずめ回と見せかけて、じつは家森回と言っても過言ではない。

8話では家森は明言を連発。
「人の夢の話を聞いても、へーとしか答えれないでしょ。へーから何も生まれないでしょ。へーを生まないで」
「僕は女性を好きにならないようにしてるんで。向こうが僕を好きになる確率が極めて低いからです」

カルテットの人間関係をドライな姿勢で見つめている家森は、とぼけているようでちょいちょい鋭い発言を繰り出し、とぼけた顔ですずめばかりか視聴者の心をえぐってくる。

後ほど触れる「SAJの法則」もまた泣ける。

不動産会社でバイトすることになったすずめは、会社の老人(ミッキーカーチス)に「私の好きな人には好きな人がいて、その好きな人も、私は好きで、うまく行くといいなと思ってる」と打ち明けると「君の好きはどこに行くの。置き場所に困らないかい?」と言われてしまう。どこか無理をしているようにも見えるすずめを気遣った社長の温かいやさしさが現れたとても良いシーンだ。

社長にもらったコンサートのペアチケットを、真紀と別府に渡してくっつけようとするすずめがけなげすぎて辛い。自分が仲立ちをしていながら、仲良く話す二人をつい見つめてしまうすずめ。

自分の思いが叶わないことを悟りながら、別府と離婚したばかりの真紀を取り持とうとするすずめに言った家森のセリフがまた鋭い。

「夢の話でしょ。片思いって一人で見る夢でしょ。真紀さんを見ている別府くんを見てるのがつらいからじゃないの?」

二人が好きだけど、でも自分も別府が好き。幸せになってほしいのに、自分も別府に振り向いてほしい。そんな複雑な心を見透かしたように冷静に言う家森の言葉が正しすぎて言い返せない。

真紀と別府がコンサートに出かけた夜、すずめはわざと一人で残業をするうちに眠ってしまう。

「こんなデートがしたかった」というデートをする幸せ一杯の二人。ずっと別府に言ってほしかったセリフを言われて喜びの絶頂で目覚めたすずめは、夢だったことに気付くとぽろぽろと涙を零す。

このときのすずめの涙がとても綺麗だ。悲しくて悲しくて、でも二人にうまくいってほしくて。でも自分の「好き」の置き場所がなくて、ただ切ない気持ちがあふれ出してくるようで、本当に切ない。

一生懸命コンサートホールに走っていったすずめは、仲睦まじく出てきた真紀と別府を見て、声も掛けられず立ち尽くす。

そのまま真っ暗な別荘にひとりぼっちで帰ってきたすずめに、同じ時間に帰宅した家森が声をかける。家森が買ってきた温かいたこやきを二人で食べ、すずめが「今頃二人はうまくいってるかな」と呟くと、この8話の最大と言っていい程の名言「SAJの法則」を家森が説明し始める。

興味のない人に「好きです」と言われたらどうなるか、という説らしく、すずめに「告白してみて」と言い出す。「好きです」とすずめから言われた家森「ありがとう」

興味のない人に「好きです」と言われたら「ありがとう」と返すしかない、と説明した後、告白した相手は「冗談です」と言ってごまかすしかない、と。

同じころ、レストランでふと二人になった真紀と別府。「やっぱり、好きです」と畳みかけた別府に真紀は直ぐに「ありがとう」と返す。何度も「ありがとう」と返した真紀に、別府は「冗談です」と悲しい嘘をつく。

そんなやりとりがあったあと、帰り道でたこ焼き屋を見つけた二人は「みんなに買って帰ろう」と足を止める。

「さっきもそんな人いたよ。好きな子が、おなかをすかせて待ってるから、って」というたこ焼き屋のおじさんの言葉を聞いて、二人は「そうなんですか~」と笑っているけれど、視聴者はそれどころじゃない!

家森~!アンタの好きな人はすずめちゃんだったのか!と。嘘でもいいから、好きな子に「好きです」って言われたい。でも彼女は自分のことなんて眼中にない。でも「好きです」って同じように好きな子に冗談めかして言ったあと「冗談です」と悲しく締めるしかない。

自分の好きな二人がうまくいってほしい、とけなげに振る舞うすずめも切ないけど、自分が好きな子がなるべく傷つかないように、自分が出来ることをしてあげたい、と見守る家森も切ない。

これが8話の第一の爆弾である。爆弾第二弾は、冒頭に述べた、刑事がやってくるシーン。このシーンに全てがひっくり返され、視聴者はまた一週間やきもきしながら火曜を待つしかない。


という訳で、とんだ傑作回だった8話。このドラマはサスペンスでもコメディでもない。上質な大人の「ラブストーリー」である。

公式ツイッターでスティックドミノの動画が見れる♪

DVD&ブルーレイも発売されます~♡

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